奥から出てきた、いつ買ったか思い出せない食材。4コマ漫画第6話『ずぼら女子の冷蔵庫』のタイトルに、どきっとした人もいるかもしれません。
冷蔵庫の中がごちゃごちゃになる原因は、だいたい「入れすぎ」と「何がいつまでか分からない」の2つです。この記事では、公的機関や家電メーカーの情報をもとに、冷蔵庫をすっきり保つコツと、食材を保存できる期間の目安をまとめました。
冷蔵庫は「7割くらい」が目安
日本食品衛生協会の「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」では、冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意し、目安は7割程度としています。あわせて、次の温度を保つことが目安とされています。
- 冷蔵庫:10℃以下
- 冷凍庫:−15℃以下
同じ資料では、細菌の多くは10℃では増え方がゆっくりになり、−15℃では増えるのが止まるものの、死ぬわけではないと説明されています。冷蔵・冷凍していても、早めに使いきるのが基本です。
入れすぎないと電気代にもやさしい
資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ2021年版」には、冷蔵庫の使い方による省エネ効果がのっています(一般財団法人省エネルギーセンターの実測値)。
| 使い方 | 年間の省エネ量 | 比較の条件 |
|---|---|---|
| ものを詰め込みすぎない | 43.84kWh | 詰め込んだ場合と、半分にした場合の比較 |
| 無駄な開閉をしない | 10.40kWh | 旧JIS開閉試験の回数と、その2倍の回数の比較 |
| 開けている時間を短く | 6.10kWh | 開けている時間が20秒の場合と10秒の場合の比較 |
カタログでは、詰め込みすぎないことで年間約1,180円の節約になるとされています(2021年版カタログ時点の電気料金での試算)。中身が見渡せれば、扉を開けて探す時間も短くなります。整理することは、そのまま省エネにもつながるわけです。
同じカタログには、「缶詰、びん詰や調味料は、未開封なら冷蔵庫に入れる必要はありません」という記載もあります。まずは常温で置いておけるものを冷蔵庫から出すだけでも、スペースに余裕が生まれます。なお、温かいものをそのまま入れると庫内の温度が上がって余分な電力を使うので、冷ましてから入れましょう。
棚ごとの「指定席」を決める
冷蔵庫は、同じ室内でも場所によって温度がちがいます。日立の家電サポートページでは、冷気の吹き出し口側は温度が低く、ドア側は温度が高い傾向があると説明されています。そのうえで、冷蔵室の段ごとに次のような使い分けを紹介しています(機種によって異なるので、取扱説明書もあわせて確認してください)。
| 場所 | 特徴 | おすすめの食品 |
|---|---|---|
| 上段 | 冷えにくく、奥まで手が届きにくい | 保存期間が長く、ひと目で分かるもの(ペットボトルや缶飲料など) |
| 中段 | 出し入れしやすい | すぐに消費したいもの、よく使うもの |
| 下段 | 冷気がたまりやすい | 豆腐や納豆など、日持ちしないもの |
| ドアポケット | 温度が上がりやすい | よく使う調味料や飲料 |
同じページでは、中段に「朝食セット」「お弁当セット」のように同じタイミングで使うものをトレーにまとめておく方法も紹介されています。ただし、トレーを複数入れるときは、冷えにくくならないようにすき間を空けることがすすめられています。冷気の通り道をふさがないことも、詰め込みすぎない理由のひとつです。
肉や魚は、ビニール袋や容器に入れて、ほかの食品に肉汁などがかからないようにしましょう(日本食品衛生協会)。
「賞味期限」と「消費期限」のちがいを知っておく
期限を見える化する前に、表示の意味を確かめておきましょう。農林水産省は、次のように説明しています。
- 消費期限:「安全に食べられる期限」。お弁当、サンドイッチ、生めん、ケーキなど、いたみやすい食品に表示。期限が過ぎたら食べないほうがよい
- 賞味期限:「おいしく食べられる期限」。スナック菓子、カップめん、チーズ、缶詰、ペットボトル飲料など、いたみにくい食品に表示。過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない
大切なのは、どちらの期限も「袋や容器を開けないで、表示された方法で保存した場合」の期限だということです。一度開けた食品は、期限に関係なく早めに食べるようにしましょう。
卵の賞味期限は「生で食べられる期限」
冷蔵庫の常連である卵について、農林水産省の広報誌『aff』2024年4月号では、日本卵業協会の副会長が次のように答えています。
- 卵の賞味期限は、生で食べられる期限を示したもの。現在は21日(家庭の冷蔵庫で7日間保管することを含む)が最長
- 賞味期限を過ぎても、割ったときの状態に問題がないことを確かめたうえで、食品全体が70℃に達するよう十分に加熱調理すれば食べられる
- 家庭では温度が一定な冷蔵庫で保存し、殻が固いとがったほうを下にすると割れにくい
冷凍保存の期間の目安
使いきれない食材は冷凍しておくと便利ですが、冷凍庫に入れたら永遠にもつわけではありません。
| 食品 | 保存期間の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 家庭で冷凍した食材(ホームフリージング) | 約2〜3週間 | ニチレイフーズ |
| 市販の冷凍食品を家庭の冷凍庫で保存 | 2〜3か月で使い切る | 農林水産省 |
農林水産省によると、市販の冷凍食品は−18℃以下で温度変化をできるだけ少なくして保存した場合、おおむね8か月から24か月は最初の品質が保たれます。ただ、家庭の冷凍庫は開け閉めが多く温度が変わりやすいので、2〜3か月で使い切るよう呼びかけています。開けたときに、乾燥が進んでいる、色が変わっている、霜が極端についている、といった状態なら品質が落ちている可能性があります。
ニチレイフーズは、家庭で冷凍するときのコツとして次の点を挙げています。
- 熱いものは冷ましてから、薄く平らにして早く凍らせる
- ラップで密着させ、冷凍用保存袋で二重に包んで空気を遮断する
- 冷凍した日付をラベルに書き、「先入れ先出し」で回す
解凍するときは、使う分だけにしましょう。冷凍と解凍をくり返すと、食中毒菌が増える場合があります(日本食品衛生協会)。
期限を「見える化」する3つの工夫
ここまでの情報をふまえて、今日からできる工夫をまとめます。
- 手前に「早く食べるもの」、奥に「まだ大丈夫なもの」:新しく買ったものは奥へ、古いものを手前へ。冷凍庫と同じく先入れ先出しにすると、奥で眠る食材が減ります
- 開けた日・冷凍した日を書く:開封後は表示の期限が当てはまらなくなります。マスキングテープなどに日付を書いて貼っておくと、迷わずに済みます
- 買い物の前に中をのぞく:冷蔵庫が7割を超えていたら、買い足す前に「使いきる日」をつくる合図です
環境省などの推計では、2024年度に家庭から出た食品ロスは約224万トンでした。冷蔵庫の中が見渡せるようになると、うっかり捨てる食材も減らせます。
まとめ
- 冷蔵庫は7割程度が目安。冷蔵は10℃以下、冷凍は−15℃以下を保つ
- 未開封の缶詰・びん詰・調味料は冷蔵庫に入れなくてよい
- 上段は長くもつもの、中段はよく使うもの、下段は日持ちしないもの、ドアポケットは調味料と飲料
- 期限表示は「開ける前」の期限。開けたら早めに
- 家庭で冷凍した食材は2〜3週間、市販の冷凍食品は2〜3か月を目安に
- 日付を書いて、先入れ先出しで回す
冷蔵庫の中が見渡せると、毎日の料理も少し気楽になります。ラボ太とクラ子のお話は、4コマ漫画第6話『ずぼら女子の冷蔵庫』からどうぞ。
参考にした情報
(いずれも2026年10月2日に確認)
- 公益社団法人日本食品衛生協会「食中毒予防の6つのポイント」 https://www.n-shokuei.jp/eisei/sfs_6point.html
- 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2021年版 電気冷蔵庫」(PDF) https://seihinjyoho.go.jp/frontguide/pdf/guide_refrigerator.pdf
- 日立の家電品「冷蔵庫の各室の設定温度を知りたいです。」 https://kadenfan.hitachi.co.jp/support/rei/q_a/a86.html
- 日立の家電品「各室にどのような食品を保存すれば良いですか?」 https://kadenfan.hitachi.co.jp/support/rei/q_a/a139.html
- 農林水産省「子どもの食育 消費期限と賞味期限」 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/abc2.html
- 農林水産省「期限表示について教えてください。」 https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0309/02.html
- 農林水産省 広報誌aff 2024年4月号「買う前に知っておきたい、たまごのこと」(PDF) https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2404/pdf/aff2404-01.pdf
- 農林水産省「冷凍室で保存していた冷凍食品の品質はどれくらい保たれますか。」 https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1512/01.html
- ニチレイフーズ「【冷凍保存の基本】冷凍の基礎知識とホームフリージングのポイント」 https://www.nichireifoods.co.jp/media/46179/
- 環境省「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和6年度)の公表について」 https://www.env.go.jp/press/press_05155.html








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