缶詰・レトルトで始めるローリングストック|一人暮らしの備蓄量と選び方

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「いざというときのために」と買った缶詰が、気づけば棚の奥で何年も眠っている。4コマ漫画第33話『缶詰はだいたい開かない』のタイトルに、思い当たる人もいるのではないでしょうか。

しまいこんだまま期限が切れてしまうのを防ぐ方法が「ローリングストック」です。この記事では、農林水産省や政府広報の資料をもとに、一人暮らしで備えたい量と、缶詰・レトルトの選び方をまとめました。数字はいずれも2026年10月時点で公開されている資料のものです。

ローリングストックってなに?

農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」では、ローリングストックを次のように説明しています。

ふだんの食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭に備蓄されている状態を保つ方法。

流れにすると「蓄える → 食べる → 補充する」のくり返しです。特別な非常食をしまいこむのではなく、いつも食べているものを回しながら備えるので、費用も時間もふだんの買い物の範囲でできるのが利点です。まさに「開かない缶詰」をなくす仕組みといえます。

一人暮らしは、まず3日分。目標は1週間分

農林水産省のガイドによると、過去の災害ではライフラインの復旧まで1週間以上かかるケースが多く、支援物資が3日以上届かないことや、1週間はお店で食品が手に入りにくいことも想定されています。そのため、最低3日分〜1週間分×人数分の備蓄が望ましいとされています。

農林水産省の単身者向けガイドでは、公的な支援物資が届き始めるのは4日目以降として、「まずは3日分を試しにストックしてみては」「目標は1週間分」と呼びかけています。部屋の収納と相談しながら、段階的に増やしていけば大丈夫です。

水は1人1日3リットル

水は飲料水と調理用水をあわせて、1人1日およそ3リットルが目安です(農林水産省、首相官邸)。一人暮らしなら、3日分で9リットル、1週間分で21リットルになります。2リットルのペットボトルなら、1週間分で11本ほどです。

この量には、湯せんや食器を洗う水、トイレを流すための生活用水は含まれていません。首相官邸のページでは、生活用水のために水道水を入れたポリタンクを用意する、お風呂の水を張っておくなどの備えもすすめています。

カセットコンロとボンベも忘れずに

電気やガスが止まっても、お湯が沸かせればレトルト食品やカップ麺、フリーズドライのスープなど、食べられるものがぐんと増えます。カセットボンベの目安は次のとおりです。

  • 単身者向けガイド:3日分で3本(1人1日1本程度)
  • 食品ストックガイド・政府広報オンライン:1人1週間あたり約6本

農林水産省のガイドでは、使用期限の目安としてボンベ約7年、コンロ約10年が挙げられています。

1週間分って、どのくらい?

政府広報オンラインでは、大人2人・1週間分の家庭備蓄の例を紹介しています。ここでは、その数を単純に半分にして、一人暮らしの目安として並べてみました(半分にした数は、この記事で計算したものです)。

品目大人2人・1週間分の例1人分にすると
水2L×6本×4箱2L×12本
カセットボンベ12本6本
肉・野菜・豆などの缶詰18缶9缶
牛丼の素・カレーなどのレトルト食品18個9個
パスタソースなどのレトルト食品6個3個
カップ麺類6個3個
パックご飯6個3個
乾麺そうめん300g×2袋、パスタ600g×2袋そうめん300g×1袋、パスタ600g×1袋

このほかに、日持ちする野菜や果物、野菜ジュース、インスタント味噌汁、お菓子、調味料なども組み合わせるとよいとされています。いきなり全部そろえなくても、まずは「いつもの買い物で缶詰とレトルトを1〜2個ずつ多めに買う」ところから始めれば十分です。

家族構成や住まいに合わせて必要な品目と量を知りたいときは、東京都の「東京備蓄ナビ」も便利です。家族構成や住まいの種類などの質問に答えると、備蓄品目と数量の目安がリストで表示されます。東京都以外に住んでいる人も使えます。

缶詰・レトルトの選び方

「好きなもの」「いつも食べるもの」から選ぶ

単身者向けガイドでは、ふだんよく食べているものや好きなものを常温食品から選び、いつも行くお店で、賞味期限の長さにこだわらずに選ぶことをすすめています。食べ慣れたものなら、ふだんの食事で消費できるので無駄になりません。

たんぱく質と野菜を意識する

災害直後は炭水化物ばかりになりがちです。農林水産省は、たんぱく質をとるのに缶詰がおすすめだとしています。ツナ、サバ、イワシ、サンマなどの魚の缶詰や、コンビーフ、焼き鳥などの肉の缶詰は、長期保存ができて手軽です。また、野菜不足で便秘や口内炎に悩んだという声もあることから、野菜の缶詰や野菜ジュース、乾物なども備えておくとよいとされています。

保存期間の目安

食品賞味期限の目安
缶詰製造からおよそ3年
レトルト食品1〜2年程度
パックごはん1年
カップ麺類約6か月
カップスープ・カップ味噌汁約1年

(缶詰・レトルトは日本缶詰びん詰レトルト食品協会、そのほかは農林水産省の単身者向けガイドより。商品によって異なるので、パッケージの表示を確認してください)

日本缶詰びん詰レトルト食品協会によると、缶詰やレトルト食品は加熱殺菌の工程で調理も済んでいるので、温めずにそのまま食べることもできます。熱源がないときにも心強い存在です。缶詰のふたには、缶切りで開けるタイプもあるので、買うときに確認しておくと安心です。

置き場所と、期限の回し方

一人暮らしの部屋でも置けるコツ

  • キッチン以外のスキマも使う:賞味期限がまだ先の食品は、クローゼットのすき間やベッドの下へ(単身者向けガイド)
  • 水は分散して置く:1か所に入りきらなければ、いろいろな場所に分けて(食品ストックガイド)
  • 重いものは下、軽いものは上:家具の転倒や物の落下によるけがを防ぐため。カセットコンロも低い位置にボンベと一緒に
  • 保存環境に気をつける:直射日光が当たる場所や湿気がこもりやすい場所を避け、温度変化の少ない場所に(日本缶詰びん詰レトルト食品協会)

「見える化」で回し忘れを防ぐ

農林水産省のガイドでは、取り出しやすいケースや箱に入れて中身がすぐ分かるようにし、側面に賞味期限を書いておく方法を紹介しています。古いものを手前に、新しいものを奥に補充して、手前から使うのがコツです。

単身者向けガイドでは、ときどき「ソロキャンプ」の気分で、電気やガスを使わずにストックの食品を食べてみることもすすめています。賞味期限が近いものから食べれば、ストックの点検にもなります。

期限が過ぎた缶詰を見つけたら

日本缶詰びん詰レトルト食品協会によると、缶詰やレトルト食品は、賞味期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。ただし、保存環境が悪かった場合などに備えて、未開封の状態で次の点を確認するよう呼びかけています。

  • 缶がさびついていないか
  • ふたや容器がふくらんでいないか
  • ふたを指で押すと、ペコペコとへこまないか

こうした状態が見られたら、食べずに廃棄してください。ふくらんだ缶詰は破裂するおそれがあるため、協会のページに書かれている処分方法を確認しましょう。また、食べきれずに残った缶詰の中身は、開けたあと缶のまま置いておくと、果物の缶詰のように内面を塗装していない缶ではスズが溶け出しやすくなるため、ガラスや陶器、プラスチックなどの容器に移して冷蔵庫へ入れるよう協会のQ&Aで説明されています。

まとめ

  • ローリングストックは「蓄える → 食べる → 補充する」のくり返し
  • 一人暮らしは、まず3日分。目標は1週間分
  • 水は1人1日3リットル。1週間分なら2Lペットボトル11本ほど
  • カセットボンベは1人1週間で約6本
  • 缶詰・レトルトは、好きなもの・いつも食べるものから。たんぱく質と野菜も意識して
  • 期限を箱の側面に書き、古いものを手前に。ときどき食べて点検する

「だいたい開かない」缶詰も、ふだんの食事で回していけば、ちゃんと役に立つ備えになります。ラボ太とクラ子のお話は、4コマ漫画第33話『缶詰はだいたい開かない』からどうぞ。

参考にした情報

(いずれも2026年10月2日に確認)

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