一人暮らしから二人暮らしになると、家事の量はただ2倍になるわけではありません。料理や洗濯をまとめてできる分ラクになる一方で、「どっちがやるか」を決める必要が出てきます。
家事分担は、最初になんとなく決めたまま続けると、どちらかに負担がかたよっても気づきにくいものです。この記事では、国や自治体が公開しているデータとツールをもとに、二人で納得できる分担の決め方をまとめました。
データで見る家事時間のかたより
総務省の「令和3年社会生活基本調査」(2021年10月に調査)によると、10歳以上の人の1日あたりの家事関連時間(家事・介護・看護・育児・買い物の合計)は、次のとおりです。
| 2001年 | 2021年 | |
|---|---|---|
| 男性 | 31分 | 51分 |
| 女性 | 3時間34分 | 3時間24分 |
| 男女の差 | 3時間3分 | 2時間33分 |
男女の差は20年で30分縮まったものの、総務省は「依然として差は大きい」としています。
夫婦について見ると、同じ調査で6歳未満の子どもがいる共働き世帯の場合、家事関連時間は夫が1日1時間55分、妻が6時間33分でした。このうち育児を除いた「家事」だけでも、夫34分に対して妻2時間37分です(総務省統計局「統計Today No.190」より)。
これは子どものいる世帯のデータなので、二人暮らしの家庭にそのまま当てはまるわけではありません。それでも、共働きであっても家事が片方にかたよりやすいことは、数字からも見えてきます。だからこそ、二人暮らしを始めたタイミングで一度、きちんと分担を話し合っておく価値があります。
ステップ1:家事をすべて書き出して「見える化」する
話し合いの前にまずやりたいのが、家の中の家事をすべて書き出すことです。「料理」「洗濯」のような大きな項目だけでなく、細かい作業まで書き出すと、相手がやってくれていたことに気づけます。
総務省の社会生活基本調査では、家事を「食事の管理」(料理・食器洗いなど)、「住まいの手入れ・整理」、「衣類等の手入れ」などに分けて集計しています。この分け方を参考に、たとえば次のように書き出してみましょう。
| 分類 | 書き出す家事の例 |
|---|---|
| 食事のこと | 献立を考える、食材の買い出し、料理、食器洗い、食器を片づける、冷蔵庫の中身を確認する |
| 住まいのこと | ごみをまとめる、ごみを出す、ごみ袋を補充する、日用品の在庫確認と買い足し、部屋の片づけ |
| 衣類のこと | 洗濯機を回す、干す、取りこむ、たたむ、しまう、クリーニングに出す |
| お金や手続きのこと | 家計の管理、公共料金などの支払い確認、郵便物の整理 |
「洗濯」ひとつでも、回す・干す・取りこむ・たたむ・しまうと分けると、5つの作業になります。書き出した紙を二人で眺めるだけでも、「こんなにあったんだ」という発見があるはずです。
ステップ2:国や自治体のシートを使ってみる
白紙から書き出すのが大変なら、公的機関が無料で公開しているシートを使うのも手です。
内閣府「夫婦が本音で話せる魔法のシート ○○家作戦会議」
内閣府男女共同参画局が作った、夫婦で家事や暮らしについて話し合うためのシートです。公式サイトからPDFでダウンロードできます。シートは4つのパートに分かれています。
- PART.1 素直な気持ちを伝えてみよう……自分の毎日や、相手に感謝していることを書いて読み上げる
- PART.2 2人の今を再確認!……今の時間の使い方と、理想の時間の使い方を書いてくらべる
- PART.3 「家のこと」のシェアの仕方を考えよう……家族にとって大事な家事を10個書き出し、今の分担の度合いを目盛りに記入。負担に感じている家事、相手に助けてほしい家事に印をつけて、お互いのシートを照らし合わせる
- PART.4 3年後の自分たちを想像してみよう……仕事や暮らしのこれからを話す
PART.3では、二人だけで負担するのが重い家事について、有料サービスを利用する、思い切ってやめる、といった選択肢も考えるようすすめています。
岐阜県「共家事・共育チェックシート」
岐阜県が公開しているチェックシートには、「夫婦のみ世帯(妊娠中を含む)」向けの家事編(39問)があります。PDFを印刷して使うほか、20問に絞ったWEB版もあり、合計点に応じて家庭のタイプ別の診断ができます。二人暮らしならこちらも使いやすいでしょう。
ステップ3:話し合いで決めるときのコツ
書き出した家事を、どちらが担当するか決めていきます。内閣府の「○○家作戦会議」シートにのっているアドバイスもあわせて、話し合いのポイントをまとめました。
「半分ずつ」より「納得できるか」
作戦会議シートでは、家事・育児の「理想の割合」を二人それぞれが書きこむ欄があります。仕事の時間や帰宅時間は二人で違うので、きっちり半分にすることより、お互いが納得できる割合を探すほうが続けやすいはずです。
得意・苦手、好き・嫌いを伝える
料理は好きだけれど皿洗いは苦手、というように、家事ごとの好みは人それぞれです。苦手なものを交換し合えると、同じ量の家事でも負担感が軽くなるかもしれません。
「担当」は最後まで任せる
ごみ出しなら、袋をまとめる・出す・新しい袋をセットするまでを一人の担当にするなど、ひとまとまりで任せると「やったつもり」のすれ違いが減ります。
減らす・頼るも選択肢に
作戦会議シートには、立派な料理が作れなくても余分な家事を減らすことが大切、というアドバイスがあります。家電や家事代行などのサービスにまかせる、そもそもやめる、という選び方もあってかまいません。
ほかの家庭とくらべない
同じシートでは、他人の家庭と比べないことも呼びかけています。外から見える家庭のようすは、その家の実際とは限らないためです。
ステップ4:決めたあとも定期的に見直す
一度決めた分担も、仕事が忙しくなる時期や引っ越しなど、暮らしが変わるたびに合わなくなっていきます。書き出したリストを冷蔵庫に貼っておいたり、スマートフォンの共有メモに残したりしておけば、見直すときにすぐ取り出せます。
見直しのタイミングは、季節の変わり目や、どちらかの働き方が変わったときなど、二人で決めておくと忘れにくくなります。その場では、うまくいっていることや感謝していることから話し始めると、責め合いになりにくいでしょう。作戦会議シートも、最初のパートで「相手に感謝していること」を書くところから始まります。
まとめ
- 総務省の調査では、家事関連時間の男女差は縮まりつつも、2021年時点で1日2時間33分ある
- まずは家事をすべて書き出して「見える化」する。細かい作業まで分けるのがポイント
- 内閣府の「○○家作戦会議」や岐阜県の「共家事・共育チェックシート」など、無料のシートが使える
- きっちり半分より、お互いが納得できる割合を。減らす・頼るも選択肢に
- 暮らしが変わったら、分担も見直す
二人暮らしの家事分担に正解はありません。書き出して、話して、ときどき見直す。そのくり返しで、二人に合った形が見つかっていくはずです。
参考にした情報
いずれも2026年10月2日に確認しました。
- 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の概要」https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/gaiyoua.pdf
- 総務省統計局「統計Today No.190 我が国における家事関連時間の男女の差」https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/190.pdf
- 内閣府男女共同参画局「夫婦が本音で話せる魔法のシート ○○家作戦会議」https://www.gender.go.jp/public/sakusenkaigi/index.html
- 岐阜県「共家事(ともかじ)・共育(ともいく)チェックシート」https://www.pref.gifu.lg.jp/page/386942.html








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